
テレビドラマ『アンナチュラル』『MIU404』のスタッフが再結集し、公式な同一世界観(シェアード・ユニバース)のもと、『ラストマイル』が2024年8月23日に劇場公開されました。衝撃的なサスペンスと、現代社会の“物流”というテーマが重なった一作を、2児の母目線でも考察してみたいと思います。
目次
✅基本情報
- 監督:塚原あゆ子(これまで『アンナチュラル』『MIU404』などを手がけた演出家)
- 脚本:野木亜紀子(同上)
- 主演:満島ひかり(舟渡エレナ)、岡田将生(梨本孔)、ディーン・フジオカ、大倉孝二、阿部サダヲほか豪華キャスト多数
- 公開日:2024年8月23日、上映時間129分
📝あらすじ(ネタバレなし)
11 月、流通業界最大のイベントのひとつ“ブラックフライデー”の前夜、世界規模のショッピングサイトから配送された段ボール箱が爆発する事件が発生。
やがてそれは日本中を恐怖に陥れる謎の連続爆破事件へと発展していく――。
巨大物流倉庫のセンター長に着任したばかりの舟渡エレナ(満島ひかり)は、チームマネージャーの梨本孔(岡田将生)と共に、未曾有の事態の収拾にあたる。
誰が、何のために爆弾を仕掛けたのか?
残りの爆弾は幾つで、今どこにあるのか?
決して止めることのできない現代社会の生命線 ―
世界に張り巡らされたこの血管を止めずに、いかにして、連続爆破を止めることができるのか?
すべての謎が解き明かされるとき、この世界の隠された姿が浮かび上がる。(公式サイトよりhttps://last-mile-movie.jp/story/index.html)
⚠️嘔吐恐怖症の方でも観られる
直接的な嘔吐シーンや体調不良シーン、飲酒シーンもなかったので、嘔吐恐怖症の方でも安心して鑑賞できるかと思います。
🧑🧒🧒子どもと一緒に観ていい?
- 暴力や過激な描写はないが、爆破事件の描写と社会問題がテーマ。
- 中学生以上なら内容を理解して観られ、大人も社会を改めて考えられる構造。
- 小学生以下には内容が難しく、事件の背景への共感も難しい恐れあり。
👀見どころ
▶ “物流”という日常の舞台に衝撃を与える設計
夜にワンクリックで届く便利な暮らしの裏で、誰かが崩れていく。この作品は、システムへの告発とも言える構造で、強い社会性を携えています 。
▶ 豪華キャスト×緊張感あふれる演出
石原さとみ/綾野剛/星野源ら、ドラマからの参戦もあり、ファンにはたまらない演出。ノンストップな展開と現場のリアルさが緊張を高めます 。
▶ テーマが重厚、社会を映す鏡として響く
便利さを享受する現代人が、ふと忘れがちな配達員・センター員の存在。レビューでは「得したい病」に警鐘を鳴らす声も多く、ただのサスペンス以上に思いを揺さぶります。
どんな人におすすめ?
- 社会派サスペンスが好きな大人
- 『アンナチュラル』『MIU404』ファン
- 日常の裏にある仕組みや“仕掛け人”を探したい人
- 社会問題を映画で語らせたい教育現場の方にもおすすめです
📝 ネタバレ感想
① 荷物が“爆弾”になる恐怖
映画序盤の爆発シーンは圧巻でした。普段は「ワクワクして開ける段ボール」が、突然命を奪う存在に変わる。この逆転のアイデアだけで、観ている側の心を一瞬で掴みます。
私自身もAmazonや楽天に頼り切っている生活をしているので、心臓を掴まれるような不安感を覚えました。
② 犯人の動機に共感してしまう
犯人は「単なる悪人」ではなく、物流センターで過酷な環境に追い込まれた元労働者でした。
低賃金・長時間労働・システムに人間が使い潰されていく状況…。
その怒りや絶望が「配送を止めたい」という爆弾テロへと結びついてしまった。
「彼のやり方は間違っている」
でも「その気持ちはわかる」
そんな複雑な共感を抱かせるのが、この映画の怖さだと思います。
③ エレナの選択と“命の重さ”
主人公エレナは、爆弾が仕掛けられた最後の荷物を前に、「効率」か「命」かの究極の選択を迫られます。
ここで彼女は「物流を守る」よりも「人の命を守る」道を選んだ。
この決断は単なるヒロイズムではなく、“当たり前に届く便利さより、人が生きていることの方が大事”という強烈なメッセージでした。
観客の多くが「自分ならどうするか」と考えさせられたのではないでしょうか。
④ 『アンナチュラル』『MIU404』との繋がりが胸熱
ラストでUDIラボの三澄ミコト(石原さとみ)が登場し、さらには伊吹藍(綾野剛)と志摩一未(星野源)も捜査に関わるシーンが!
「同じ世界で、同じ時代に生きている」感覚が鳥肌ものでした。
ただのファンサービスではなく、“社会の歪みを追い続ける人たちが確かに存在している”という説得力が加わっていました。
⑤ 終わらない問題を残すラスト
事件は解決しましたが、物流業界の過酷さも、人々の「早く安く欲しい」という消費の欲望も無くなってはいない。
つまり、これは映画の中だけの出来事ではなく、今も私たちの暮らしの中で続いている問題なんですよね。
観終わったあと「自分の買い物の仕方」を見直さざるを得ませんでした。
📺どこで観られる??
Amazon prime
現在(2025/09)に見放題配信サービスに出ているのはAmazon primeのみです。
ゲオ宅配オンライン
Amazon primeに加入しておらず、するつもりもない方にオススメなのがこのゲオ宅配オンラインがオススメです。
🔹まとめ
『ラストマイル』は「日常の平和」がほんの少しで崩れることを、物流の視点で鋭く描くサスペンス映画です。エンターテイメントとして楽しみつつ社会構造を問いかける強度を持った作品で、まずは映画館で、その“詰められた意思”を感じてほしい一本です。
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