
映画『ファースストキス』を観終わったあと、ふたりの夫婦の姿が胸から離れません。
「もしもう一度、最初に戻れるなら」——そんな誰もが抱く願いを、優しく、でも確かに刺さる形で描いた作品でした。
目次
📖基本情報

作品名:ファーストキス
公開年:2025年
監督:塚原あゆ子
(『わたしの幸せな結婚』『MIU404』など、繊細な感情描写に定評)
脚本:坂元裕二
(『花束みたいな恋をした』『カルテット』『大豆田とわ子と三人の元夫』)
原作:オリジナル脚本
ジャンル:ラブストーリー・ファンタジー(タイムトラベル)
配給:東宝
◆キャスト
- 松たか子 … 硯カンナ
- 松村北斗(SixTONES) … 硯駈
💬あらすじ:事故で夫を失った女性が、時をさかのぼり…
結婚15年目の夫・**駈(松村北斗)**を事故で亡くした主人公、硯カンナ(松たか子)。
喪失の痛みを抱えながらも少しずつ前を向きはじめたある日、彼女は偶然“過去へ戻る方法”を手に入れる。
タイムトラベルした先で待っていたのは、
まだ若くて、未来での倦怠期など知る由もない15年前の駈。
その無邪気さや優しさに触れ、カンナは改めて “彼を心から愛していた” ことに気づく。
そして決意するーー
「15年後、必ず彼を事故から救う」
過去と未来を行き来しながら、
カンナは自分自身の人生と“夫婦の愛の形”に向き合っていく。
👀見どころ
松たか子×松村北斗、夫婦のリアルを描く演技対決
● 大人の女性の揺れ動く心を繊細に演じる 松たか子
● 若さ、無邪気さ、優しさを自然にまとった 松村北斗
同じ人物でも“15年後の夫”“若い夫”で表情や関係性が変化していく松村北斗の演じ分け、
そしてカンナの複雑な感情を全身で表現する松たか子の演技は、物語の核心。
二人が時間を越えて“もう一度恋に落ちる”瞬間は、この映画最大の胸キュンポイントです。
坂元裕二の脚本×塚原あゆ子監督の世界観
脚本は『カルテット』『花束みたいな恋をした』の 坂元裕二。
夫婦のリアルな会話の温度感や、胸の奥に刺さるセリフの数々は、まさに坂元作品そのもの。
監督は『わたしの幸せな結婚』の 塚原あゆ子。
美しい映像と時空を越えた切ない世界観が完璧にマッチし、
“ただの時間もの”ではなく深い愛の物語へと昇華しています。
🌟こんな人におすすめ
- 切ないラブストーリーが好き
- 坂元裕二作品の言葉に心をつかまれる
- 松たか子・松村北斗の演技を堪能したい
- 大切な人との関係を見つめ直すきっかけが欲しい
涙と温かさが同居する、心に残る作品です。
🧑🧒子どもと観られる?(年齢別の注意点付き)
結論から言うと、
小学生以下には少し難しく、中学生以上なら安心して観られる作品 です。
◆子どもと観る際のポイント
『ファーストキス』はタイムトラベル要素のある“大人向けラブストーリー”。
暴力・過激な描写や刺激の強いシーンはほとんどありませんが、
テーマが重く、死や喪失、夫婦のすれ違いが中心になります。
そのため、年齢によって理解度が分かれます。
◆小学生(特に低学年)
おすすめ度:★☆☆☆☆
・ストーリー進行が大人向けで理解が難しい
・タイムトラベルのルール説明が少し複雑
・夫婦の倦怠期や“死”のテーマが重く感じる可能性
→ この作品を楽しむには、少し早い印象。
◆小学校高学年〜中学生
おすすめ度:★★★☆☆
・恋愛映画として理解しやすい年齢
・死別や過去への後悔などのテーマが感情教育になる
・タイムトラベルものに興味がある子ならより楽しめる
→ 一緒に観るなら、この年代からが安心。
◆高校生以上
おすすめ度:★★★★★
・恋愛、結婚、後悔、人生の選択といったテーマが刺さる
・坂元裕二の会話劇をちゃんと理解できる
・松たか子×松村北斗の夫婦像がよりリアルに感じられる
→ 恋愛映画として最高の年代。
特に “人を失う怖さ”や“愛の取り戻し方” が胸に響く。
◆家族で観るなら?
● 母娘で観ると刺さるポイントが多い
● 家族愛・夫婦愛を扱うため、親世代が感情移入しやすい
● 劇的なラブシーンはなく、安心して観られる
→ テーマは大人向けですが、描写はマイルドなので
「15歳以上の子どもと親が一緒に観る映画」としてはとても良い作品です。
⚠️嘔吐恐怖症の方でも観られる??
直接的な嘔吐シーン、連想させる体調不良、飲酒シーンはありません。
嘔吐恐怖症の方でも比較的問題なく鑑賞していただけるかと思います。
🎬感想:2人の関係性が時間を越えて愛しさを積み上げていく
事故で夫・駈(松村北斗)を失ったカンナ(松たか子)が、15年前に戻って “まだ若い夫” と再会する。
その瞬間から物語は切なさの連続です。
若い駈の無邪気さと優しさに触れるたび、
「駈の生きている未来をつくりたい」
と、カンナの心が震えていくのが痛いほど伝わってきます。
そして松たか子の表情がとにかく素晴らしい。
言葉にしない感情の揺れが、顔の小さな動きや声のトーンに宿っていて、
“失ったからこそ気づく愛” が深く沁みてくる。
松村北斗の演じる駈は、現在の彼とはまた違う柔らかさがあって、
「あぁ、この人を守りたくなるのわかる」と観客側も自然に納得してしまうほど。
時間を巻き戻すたびに、2人の関係性が「恋」へと遡っていく様子は、
胸が苦しくなるのに目が離せませんでした。
■ 夫婦の物語としての強さ
設定だけ聞くと“タイムトラベルもの”ですが、
実際は、ものすごくリアルな“夫婦のドラマ”。
結婚15年目ならではの倦怠やすれ違い。
それでも消えない愛情。
そして「間に合わない後悔」。
坂元裕二の脚本らしく、一言一言が心に刺さり、
観終わったあと、自分の大切な人の顔が自然と浮かびました。
◾️名言の数々
坂本裕ニ作品に度々現れる名言の数々。
「恋愛感情と靴下の片方はいつかなくなります」
「たかが氷と砂糖に並ぶことを人間らしさといいます」
などクスッと笑えるけどわかるなーと言いたくなる名言の数々も魅力的でした。
📺配信情報(2025,11現在)
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🕊️まとめ:優しくて、痛くて、愛おしいラブストーリー
『ファーストキス』は、
ただのラブストーリーでも、ただのSFでもない、
“時間を越えて愛を取り戻す物語”。
松たか子×松村北斗のバランスと演技の深みは、正直予想以上で、
観てよかったと心から思える作品でした。
「もう一度出会えるなら、あなたは誰に会いたい?」
そんな余韻を残す、切なく温かい映画です。



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