【映画 渇水 感想】水を止める男と止まった家族の時間|実話ベースの社会派ヒューマンドラマをレビュー|ネタバレあり

か行

 

わたし
ゆる

2023年公開の映画『渇水』は、「水道を止める仕事」という一見地味な職業から、人間の心の渇きと再生を描いた異色のヒューマンドラマです。

主演は生真面目な役がはまりすぎる生田斗真さん。心を閉ざした家庭、止められる水、そして止まっていた時間――。

2児を育てる親の目線でも「考えさせられる」作品だったので、感想をネタバレありでじっくり綴ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

🎬 映画『渇水』 基本情報

 

  • 作品名:渇水(かっすい)
  • 公開年:2023年
  • 原作:河林満(幻の戯曲)
  • 監督:高橋正弥
  • 出演:生田斗真、門脇麦、磯村勇斗、山崎七海、柚穂、小松和重、池田成志 ほか
  • ジャンル:社会派ドラマ/ヒューマンドラマ
  • 上映時間:100分

 

 

 

 

🧂 あらすじ(ネタバレなし)

 

舞台は、ある水不足に悩まされる地方都市。

市の水道局で「滞納者の水を止める仕事」を担当する職員・岩切俊作(生田斗真)は、ある日、2人の幼い姉妹だけが取り残された家庭に出会う。

母親は行方不明、電気・ガス・水道も止まりかけ。生活は崩壊寸前。

しかし、少女たちは決して「助けて」とは言わない。

心を閉ざした子どもたちと、水を止める立場にある大人。

その出会いが、俊作の心の奥底に眠っていた“渇き”を呼び覚ましていく――。

 

 

 

 

👪 子どもと一緒に観られる?

 

内容的には小学生以下にはやや重たいテーマです。

虐待・育児放棄・貧困といった描写は直接的ではないですが、敏感なお子さんには不安感を与える可能性があります。

中高生なら、家庭科や社会問題を学ぶ教材としても非常に良質な一本です。

(実際に上映会・教育目的での使用も話題になっています)

 

 

 

 

⚠️嘔吐恐怖症の方でも観られる??

 

この映画では直接的な嘔吐シーンはありません。

飲酒シーンはありますが、泥酔といったほどではなく吐き気を催している人もいないので、嘔吐恐怖症の方でも安心して観ていただける作品かと思います。

 

 

 

🎯 こんな人におすすめ

 

  1. 社会派・実話ベースのヒューマンドラマが好きな人
  2. 家族、親子関係、育児放棄といったテーマに関心がある人
  3. 生田斗真さん・門脇麦さんの演技力を堪能したい人
  4. 福祉・教育・医療など“人と向き合う仕事”に携わる人
  5. 「見えないSOS」に気づく視点を得たい人

 

 

 

 

🔗 配信・購入情報(2025年現在)

 

渇水 | Netflix
日照り続きの夏、料金を滞納する家を訪ね、水道を止めて回っていた水道局の男。ある日男は二人きりで家に残された幼い姉妹と出会い、最後のライフラインである水を止めるべきか良心と葛藤する。

↑今現在Netflixで配信されています。

 


渇水

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👀 感想(ネタバレあり)

 

▶「水を止める仕事」の重みがリアル

本作の主人公・岩切は、公務員でありながら「生活に直接影響を与える判断」をする立場。

たとえば家に誰も出てこなくても、一定期間を過ぎたら水を止める。機械的で冷たい仕事のようだけれど、そこには感情を抑えて向き合う「責任」と「苦しさ」があります。

その「線を引く役目」に迷いを抱く岩切が、子どもたちと出会うことで、徐々に自分の過去や心の“渇き”とも向き合い始める姿が丁寧に描かれています。

▶ 門脇麦さんの存在感がすごい

子どもたちの母親役。正直、登場するたびに「この人ヤバい…」と感じさせるリアルさ。

でも、ただの「ネグレクト母」ではなく、何かに押しつぶされているような痛みや背景が伝わってくる。

実家とも折り合いがつかず、実家に連絡がいくことを恐れて生活保護も申請できず、夫は船乗りであったものの1年以上前に出て行ってそれっきりで、幼い姉妹を養うためネットで知り合った人に身体を売って生活するもうまくいかず、そこで出会った男性と消えてしまう母親で、まとめると救いようない人間なのですが、荷物を取りに行ったときにテーブルに袋いっぱいのお菓子を置いていったり、置き手紙には髪を切るという約束を忘れていない素振りをみせたり、全く愛情がないといったわけでもなさそうなのが、かえって苦しかったです。

“悪人”に見えても、きっとどこかに「助けて」があったんだろうな…と考えてしまいます。

▶ 子どもたちの静かな演技に胸が締め付けられる

台詞は少ない。でも表情やしぐさで「大人に頼れない子ども」が伝わってくる。

水が止まる家の中で、必死に日常を保とうとする姉妹。

小学校高学年くらいの姉と小学生低学年くらいの妹で姉は母親が何をしているのか、父親が帰ってこないことをわかっていて必死に妹を守ろうとしていて、妹もなんとなくそのことに気がつきながら姉を慕いときに無邪気な姿で癒していました。

水が止められ、岩切らが貯めてくれた水もなくなり、母親が置いていったお金も尽き、後半どんどん2人の表情が固く、ときに脱水から朦朧としていくのが、同じくらいの子どもがいる身としては観ているのが苦しかったです。

 

 

 

 

✅ 総評

 

⭐️⭐️⭐️⭐️☆(4.5/5.0)

日常の裏にある“見えない渇き”に気づかされる作品。

水を止めるかどうか、その判断が「命のライン」になることもある――。

この映画は、ただのヒューマンドラマではなく、「私たちは社会の一部としてどう生きるか」を問いかけてくる力強さがありました。

 

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