【梅切らぬバカ】この映画はきっとどこかの家族の日常

あ行

 

わたし
ゆる

2021年に加賀まりこさん主演で公開された『梅切らぬバカ』をNetflixで鑑賞したので、軽度嘔吐恐怖症で2児の母の私がレビューします。

 

 

 

 

あらすじ

 

山田珠子は、息子・忠男と二人暮らし。毎朝決まった時間に起床して、朝食をとり、決まった時間に家を出る。庭にある梅の木の枝は伸び放題で、隣の里村家からは苦情が届いていた。ある日、グループホームの案内を受けた珠子は、悩んだ末に忠男の入居を決める。しかし、初めて離れて暮らすことになった忠男は環境の変化に戸惑い、ホームを抜け出してしまう。そんな中、珠子は邪魔になる梅の木を切ることを決意するが・・・。(公式サイトhttps://happinet-phantom.com/umekiranubaka/about_sp.php#story_box)

 

 

 

嘔吐恐怖症の方は観られる?子どもは観られる?

 

嘔吐シーンはありません。飲酒シーンもラストに1回あるくらいです。そのときに渡辺いっけいさんが酔っ払っていましたが、苦しそうにしているシーンはありませんでした。

残酷なシーンや過激なシーンはありませんが、障がい者のグループホームへの地域の反対運動や、偏見を描かれている場面もあるので観るなら中学生くらいになってから観た方がいいかなと思います。

 

 

ネタバレありレビュー

 

死んだことになっている父親と占いなのか人生相談なのかで生計をたたている母親、自閉症の50歳になる忠さんこと忠男。

父親が植えた梅の木がお父さんの代わりに見守ってくれているから悪いことはできないねって教え続けたこともあり、家の柵からはみ出した枝が近隣住民から苦情がきても切れないでいた。50歳の誕生日に忠さんがギックリ腰になったことをキッカケに母親である珠代は自分が死んだあと息子が生きていけるにはグループホームに入所させる必要があると考え、自宅からも作業所からも近いタイミングよく空いたグループホームに入所させるも、隣に住む小学生から夜乗馬クラブに忍び込んで馬を見ることを誘われそれがグループホームへの反対運動が行われるくらいの大きな事件になってしまいます。忠さんは結局自宅に戻ってくることになりまた日常は続いていく、、、というストーリーですが、普段は意思疎通もとりにくいのにふっとした瞬間に通じたように感じることがあるのがリアルで泣けました。

私はASDの娘がいるので、偏見や差別的な扱いを受けている場面のときは胸を締め付けられる気分にはなりましたが、抗議に参加していた母親の不安は同じ子どもをもつ人間として理解ができ、もし自分の家の近くにそういった施設ができて子どもに被害があったとき好意的な目でみることは2度とできないだろうとも思いました。

私の娘は忠さんより軽度のASDなので、こだわりの強さや聴覚過敏、音声チックなど重なる場面が多く数十年後の娘の将来を思わずにはいられませんでした。

そして、何より大変なことも多く、周囲の人間にも頭を下げることが多くてもやっぱりいないと母親の方が抜け殻のようになってしまい、忠さんが帰ってきたとき心から嬉しそうな母親を観ていると共感せずにはいられませんでした。

ラストシーンの忠さんの家をグループホームにする話が冗談で終わらずに進んでいけば未来への救いも感じられたのになぁと思いつつ、変わらぬ日常を探していくところがリアルかもしれないとも感じました。

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