映画『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』感想レビュー|白岩瑠姫×久間田琳加が描く繋がる過去と純粋な恋【ネタバレあり】

や行

 

わたし
ゆる

2023年に公開された『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』をテラサにて鑑賞したので、2児の母で軽度嘔吐恐怖症の私がご紹介いたします。

 

 

 

 

 

 

 

基本情報

  • 作品名:夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく
  • 公開日:2023年9月1日
  • 監督:酒井麻衣(『ピンカートンに会いにいく』『夢みる校長先生』)
  • 原作:汐見夏衛(スターツ出版文庫)
  • 出演:白岩瑠姫(JO1)、久間田琳加、箭内夢菜、今井隆文、山之内すず、上杉柊平 ほか
  • 配給:アスミック・エース
  • 上映時間:118分

 

 

 

 

あらすじ

マスクが手放せず、周囲の空気ばかり読んでしまう「優等生」の茜。 自由奔放で絵を描くことを愛する、銀髪のクラスメイト・青磁。
何もかもが自分とは正反対の青磁のことが苦手な茜だったが、 彼が描く絵と、まっすぐな性格に惹かれ、茜の世界はカラフルに色づきはじめる。

次第に距離を縮めていくふたりの過去はやがて重なりあい、 初めて誰にも言えなかった想いがあふれ出す――。

 

 

 

 

見どころポイント

  1. 白岩瑠姫×久間田琳加の繊細な化学反応
    互いに控えめで、表情で語るタイプの俳優だからこそ生まれる静かな緊張感。
    目線の動きや呼吸のタイミングまで美しい。
  2. “色”をテーマにした映像表現
    監督・酒井麻衣らしい幻想的な映像演出。
    茜の心情とともに、画面全体の色調が少しずつ明るく変化していく。
  3. 原作の詩的な世界観を丁寧に映像化
    文庫作品の淡い言葉たちが、そのままフィルムの中に息づいている。
  4. 音楽の静けさが、二人の心を引き立てる
    主題歌「surge」(JO1)は、余韻を残すような透明感。
    青磁と茜の“繊細な距離感”を見事に表現している。

 

 

 

 

原作との違い

  • 原作のモノローグや内省的な描写を、映画では映像と音で表現。
  • 映画版では「色」や「光」の演出に重きを置き、感情を視覚的に見せている。
  • 結末は原作よりもやや“開かれた余韻”で締めくくられており、読後感が優しい。

 

 

 

 

子どもと一緒に観られる?

恋愛をテーマにしているものの、過激な描写や暴力シーンはなく、

中学生以上なら安心して観られる内容です。

思春期の「自分が何色にもなれない不安」に寄り添う映画として、親子鑑賞にもおすすめ。

 

 

 

 

嘔吐恐怖症の方でも観られる??

この映画で主人公の茜は人前でマスクをつけないと生活できなくなってしまった女子高生なのですが、家族にはマスクをつけていることを隠しているため、時間がなくて急いで登校するときにマスクを忘れてしまうと呼吸が苦しくなり、青磁から差し出された袋に嘔吐してしまうシーンがありました。

袋を抱えて咳き込むような描写だったので、軽度の方は問題なく観られるかもしれませんが、基本的には嘔吐恐怖症の方にはおすすめできません。

 

 

 

 

こんな人におすすめ!

  • JO1・白岩瑠姫のファン
  • 繊細な青春恋愛映画が好きな人
  • 原作の“灰色”の世界観に共感した人
  • 『君の膵臓をたべたい』『余命10年』のような切ない系が好きな人
  • 自分の“色”を探しているすべての人

 

 

 

どこで観られる??

TELASA

夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく | 邦画の動画配信はTELASA(テラサ)-見逃し配信&動画が見放題
君と見上げる空は、泣けるほど美しい。無彩色で息苦しいこの世界。救い出してくれたのは、“私を嫌い”な君でした--。マスクが手放せず、周囲の空気ばかり読んでしまう「優等生」の茜。自由奔放で絵を描くことを愛する、銀髪のクラスメイト・青磁。何もかも...

 

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ネタバレあり感想|“灰色”のままでいいという救い

(※ここから結末に触れます)

青磁と茜の関係は、恋愛のようでいて、友情や共鳴にも近い。

青磁の言葉ひとつひとつが、茜の“閉ざされた心”に色を差していく。

物語の後半、青磁が抱えていた過去が明らかになる。

彼は幼い頃、病弱で小児がんを患っていた。現在も定期検診を受けており、再発を恐れるあまりに留学の話に踏み切れずにいた。

そんな自分を受け入れてくれたのが、茜だった。

そして茜もまた、自分を「何者でもない」と感じて生きていた。

そんな彼女に青磁が言う。

「また君の笑顔が見たかった。」

この台詞は、青春映画によくある“変わることの美しさ”とは真逆の意味を持つ。

変わらなくてもいい、無理に輝かなくてもいい。

今のままで存在する価値がある。

ラスト、大人になったら茜はある個展の絵を見つめながら涙を流す。

青磁の声が聞こえるような余韻。

画面が静かに光に包まれて映画は幕を閉じる。

白岩瑠姫の“静の演技”が光る

アイドルとしての華やかさを封じ、

内にこもった繊細さを見事に表現した白岩瑠姫。

セリフよりも、まなざしの力で心情を伝える演技が秀逸。

「感情を大声でぶつけない恋愛映画」を成立させたのは、彼の繊細な存在感によるものです。

久間田琳加もまた、可愛らしさの中に確かな演技力を感じさせ、

観客の多くが“茜に自分を重ねた”のではないでしょうか。

自分を出すことの恐怖

茜は小学生の頃は正義感に溢れていて活発な女の子だったにも関わらず、ある出来事がキッカケでクラスから無視されるようになってしまい、高校生になってからもマスクが手放せず、いつも人の顔色を伺い笑顔で厄介ごとも引き受ける優等生になってしまった。

そんな茜に最初は「お前のことが嫌いだ」と突然言い放つも、手助けをし、夕焼けと朝焼けの美しさを教える青磁。2人と過去が繋がったときにお互いを解放する屋上のシーンは綺麗で微笑ましかったです。ただ、大人になってしまった私が観ると、屋上の掃除どうするのよ、制服に絵の具ついたら取れないよーと考えてしまった点もありましたが、、、

 

 

 

 

まとめ|“無理に輝かなくていい”と教えてくれる映画

『夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく』は、

恋愛映画でありながら、自己肯定の物語でもあります。

灰色のままでいい。

その灰色にも、ちゃんと美しさがある。

観終わったあと、

心の中が静かにあたたまるような、そんな余韻が残る作品です。

白岩瑠姫と久間田琳加の透明感ある共演が、

“青春の痛みとやさしさ”を美しく描き出しています。

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