
2024年公開の映画『お母さんが一緒』は、
江口のりこ・内田慈・古川琴音の三姉妹が、母親との関係を通して“家族とは何か”を見つめ直す物語。
温泉旅行を舞台に、母と娘の本音が次々にあふれ出すこの作品は、
どこか懐かしく、痛く、そして少し優しい——
そんな“女たちの人生の縮図”を描いた群像劇です。
目次
基本情報
- 作品名:お母さんが一緒
- 公開年:2024年
- 監督:橋口亮輔
- 脚本:ペヤンヌマキ
- 出演:江口のりこ、内田慈、古川琴音、青山フォール勝ちほか
- 上映時間:112分
- ジャンル:ヒューマンドラマ/家族
あらすじ
親孝行のつもりで母親を温泉旅行に連れてきた三姉妹。
長女・弥生(江口のりこ)は、几帳面で責任感の強い性格。
だが内心では、美人姉妹といわれる妹たちに劣等感を抱いている。
次女・愛美(内田慈)は自由奔放に見えて、
実は優等生の姉と比べられて育ったことで、自分に自信を持てないまま。
そして三女・清美(古川琴音)は、
二人の姉の間でいつも冷静を装い、家族を一歩引いた目で見つめている。
三姉妹に共通しているのは、
「母親のような人生は送りたくない」という気持ち。
母の誕生日を祝うため、三姉妹は夕食の席で花やケーキを準備する。
長女の弥生は高価なストールを、
次女の愛美は得意の歌を。
そして三女の清美は、姉たちにも内緒にしていた恋人・タカヒロ(青山フォール勝ち)との結婚をサプライズで発表するつもりだった。
だが、その“お祝いの夜”は、思いもよらぬ方向へと転がっていく——。
物語の見どころ
① 三姉妹の“本音”がぶつかる夜
この映画の醍醐味は、家族ならではの遠慮のなさ。
旅行という非日常の中で、姉妹たちは普段隠してきた感情を爆発させます。
「私ばかり我慢してきた」
「私だって、ずっと比べられてきた」
そんな一言一言が、観る者の胸にも刺さる。
とくに江口のりこ演じる長女・弥生が見せる、
“完璧であろうとすることの苦しさ”はリアルそのもの。
家庭の中で“しっかり者”の役を担ってきた人には、
彼女の台詞が痛いほど響くでしょう。
② コメディのようでいて、深く刺さるリアリズム
温泉旅館という舞台の軽やかさ、三姉妹の掛け合いはどこかユーモラス。
しかし笑いの裏には、“母娘のすれ違い”というどうしようもない現実が隠れています。
母の何気ない一言が、娘たちの古い傷を開いていく。
「お母さんのために」と言いながら、
実はそれぞれが“自分のため”に親孝行をしている——。
その構造が、観る者に静かなざらつきを残します。
③ 母の存在が、鏡のように娘を映す
母親の人生を否定しながら、結局は似たような道を歩んでいる。
それに気づいたときの三姉妹の表情が印象的。
母を見ているようで、実は自分自身を見ていた。
そんな気づきが、作品のタイトル「お母さんが一緒」に込められています。
母は、娘の中でずっと生き続ける存在。
その“重さと優しさ”を描いた点で、本作は単なる家族映画の枠を超えています。
演技と演出の見どころ
- 江口のりこ:抑えた表情の中に感情の波を感じさせる名演。
- 内田慈:感情を爆発させる場面のリアリティが圧巻。
- 古川琴音:観客の視点に最も近い“第三者的存在”として絶妙なバランス。
- 青山フォール勝ち:不器用ながら誠実な恋人役が作品に温度を加える。
“日常の小さなドラマ”の積み重ねが光り、
どの台詞も、まるで本当にその家族が喋っているようなリアルさがあります。
子どもと一緒に観られる?
シリアスな家族の会話は多いものの、暴力的・性的な描写はありません。
中学生以上の子どもと観るのに適した作品です。
家族で観ることで、
「親子の関係」「姉妹のあり方」「老いと向き合うこと」を
自然と話すきっかけにもなるでしょう。
嘔吐恐怖症の方は観られる??
直接的な嘔吐シーンはありませんが、大量に飲酒しながら姉妹喧嘩をするシーンがあるので、ヒヤヒヤするかと思います。
嘔吐恐怖症の方にはあまりお勧めできないかもしれません。
こんな人におすすめ!
- 江口のりこ・内田慈・古川琴音の演技が好きな方
- 家族の本音を描いたヒューマンドラマが観たい方
- 姉妹の関係性に共感する方
- 母親との距離感に悩んだことがある方
- 静かに心を揺さぶる邦画を求めている方
どこで観られる??
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まとめ
映画『お母さんが一緒』は、
母と娘の“避けられない共通点”を受け入れる物語です。
母を嫌いながらも似てしまうこと。
愛しているのに、素直になれないこと。
そのすべてを肯定してくれる、優しくてほろ苦い作品でした。
観終わったあと、
「うちの家族もこんな感じかもしれない」と
誰もが少し笑ってしまう——そんなリアルな余韻が残ります。
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