本編85分という短さと、永野芽郁さん、奈緒さん、窪田正孝さんという出演者の豪華さに惹かれた『マイ・ブロークン・マリコ』を鑑賞したので、軽度嘔吐恐怖症、2児の母の私がご紹介します。
あらすじ
ある日、ブラック企業勤めのシイノトモヨ(永野芽郁)を襲った衝撃的な事件。それは、親友のイカガワマリコ(奈緒)がマンションから転落死したという報せだった――。彼女の死を受け入れられないまま茫然自失するシイノだったが、大切なダチの遺骨が毒親の手に渡ったと知り、居ても立っても居られず行動を開始。包丁を片手に単身“敵地”へと乗り込み、マリコの遺骨を奪取する。幼い頃から父親や恋人に暴力を振るわれ、人生を奪われ続けた親友に自分ができることはないのか…。シイノがたどり着いた答えは、学生時代にマリコが行きたがっていた海へと彼女の遺骨を連れていくことだった。道中で出会った男・マキオ(窪田正孝)も巻き込み、最初で最後の“二人旅”がいま、始まる。(公式サイトよりhttps://happinet-phantom.com/mariko/)
嘔吐恐怖症の方は観られる??
嘔吐シーン、体調不良シーンありません。
ただ、永野芽郁さん演じるシイノが居酒屋で酔い野宿するシーンがあるので不快な方もいるかもしれません。えずあたりするわけではなく目覚めたら朝といった感じなので個人的には不快感はありませんでした。
子どもと一緒に観られる??
映倫では特に年齢制限を設けていませんが、Netflixでは自殺の描写があることから16歳以上の鑑賞を推奨しています。
過激なシーンや残虐なシーンがあるわけでも、家族と観たら気まずいシーンがあるわけでもありませんが、ブラック企業、自殺、虐待、DVなどトラウマがある方に思い起こさせてしまうようなシーンが多々あるので、いずれかにトラウマを感じる方の鑑賞はオススメできません。
ネタバレあり感想
短く観られるし、以前王様のブランチの映画コーナーで観た気がする!という理由で鑑賞を始めたのですが、85分とは思えない心への重量感でした。
主人公なのにその生い立ちを振り返られることがない永野芽郁さん演じるシイノとシイノの幼馴染で親友で突然自殺してしまったマリコ。シイノがマリコとこ思い出を振り返ることで徐々にマリコという人が、生い立ちがわかってくることになります。
小学生の頃からいつも2人でいたシイノとマリコ。その頃からマリコは父親からの虐待によって、身体は傷とアザだらけで高校時代には性的虐待まで受けているとシイノに告白する。シイノはシイノで見えるようなあざはないものの、幼少期から乱雑な言動高校の屋上でタバコを吸い頻繁に夜の散歩に出かけているとマリコに話していた。
マリコ程ではなくともきっと境遇が似ていたであろう2人。仲良しの親友というより共依存のような関係になり、高校時代にはマリコは「シーちゃんに彼氏ができたら死ぬ」と目の前でリストカットし、シイノを驚愕させるのでした。
そして、大人になってもシイノは彼氏をつくらず、逆にマリコは常に彼氏が絶えず、しかもDVなど散々な目にあって別れるということを繰り返していた。
いつも傷が絶えず不安定で大丈夫そうではないマリコとそんなマリコを内心鬱陶しいと思うことがありつつもDV男相手にフライパンで立ち向かうなど守ろうとしていたシイノ。
おばあちゃんになってもずっと一緒にいようとマリコはしきりにシイノに言っていたのに、突然シイノにも何も告げずに自宅のマンションから飛び降りてしまう。
偶然テレビのニュースで知ったシイノはマリコの遺骨が実父と最近再婚した義母の元へ引き取られたと知り、いてもたってもいられず刃物持参で自宅に乗り込み遺骨を奪い2階の窓から飛び降りて逃げる。
その後今までにマリコからもらった手紙と共にマリコの以前行きたがっていた海へ2人旅に出かける。
その海でひったくりに遭ったり、そこで出会った窪田正孝さん演じるマキオに助けられたりと色々あった末に岬から飛び落ちてしまうのですが、そこに居合わせたマキオにシイノは自分は大丈夫そうか聞きます。そこでマキオから”大丈夫そうに見えます”と言われ、もうマリコからの手紙も遺骨もないけれど自宅に帰ることを決めます。
家に帰るとマリコの義母からマリコの最後の手紙が届いてそれを読むシイノで映画は終わってしまい、その手紙の内容を明かされることはありません。
今まで直接言えるような他愛のないことをいつも手紙にしてシイノに渡してきたマリコなのでもしかしたら、遺書と呼ぶには相応しくなく感じてしまうような他愛のないことなのかもしれないと私は思いました。
マリコの遺骨に見守らせながら岬から飛び降りようと考えていたシイノは結局死ぬことも通報されることも、無断欠勤した会社をクビになることもなく日常に戻ります。それが”大丈夫そうに見える”シイノの強みなのかもしれないと感じました。
どんなに大切な親友がいても彼氏がいてもずっと”大丈夫そうに見えなかった”マリコといつも”大丈夫そうに見える”シイノ。そんな2人の最後の旅はあまりにも怒涛の展開の連続で目が離せませんでした。
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