
「正しいことをしたはずなのに、なぜこんな結末になるのか。」
映画『悪い夏』は、生活福祉課に勤める一人の真面目な公務員が、ほんの小さな“善意”をきっかけに、取り返しのつかない闇へと引きずり込まれていく物語です。
生活保護、不正、搾取、そして人の弱さ——どれも現代社会では決して他人事ではありません。
北村匠海が演じる主人公の不器用さと、河合優実の放つ危うい魅力、窪田正孝の底知れない存在感が絡み合い、「これはフィクションなのか?」と問いかけてくるようなリアルな恐怖を生み出しています。
観終わったあと、きっと「自分だったらどうしただろう」と考えずにはいられない一本です。
目次
✅基本情報

Screenshot
公開年:2025年
ジャンル:社会派サスペンス/ヒューマンドラマ
原作:染井為人
監督:城定秀夫
脚本:向井康介
上映時間:115分
主なキャスト
- 佐々木守:北村匠海
└ 市役所の生活福祉課に勤める、真面目で不器用な公務員 - 林野愛美:河合優実
└ 生活保護を受給するシングルマザー - 金本龍也:窪田正孝
└ 裏社会に生きる、計算高く危険な男 - 伊藤万理華
- 毎熊克哉
- 木南晴夏
📖あらすじ|善意から始まった地獄
主人公・佐々木守(北村匠海)は、市役所の生活福祉課に勤めるごく普通の公務員。
不正も不倫も縁がなく、与えられた仕事を淡々とこなす“正しい側”の人間だ。
そんな彼が、同僚による「生活保護受給者への不適切な関係」という相談を受けたことから、静かに、しかし確実に崩れていく。
守が訪ねたのは、シングルマザーの林野愛美(河合優実)。
最初は事実確認のためだったはずの訪問は、やがて個人的な交流へと変わり、ついには交際関係へと発展する。
だが、それは偶然でも、恋でもなかった。
愛美の背後には、裏社会の男・金本龍也(窪田正孝)らが張り巡らせた“罠”があり、守は知らぬ間に転落へのレールに乗せられていたのだ。
真面目で、空気を読み、断れない。
その性格そのものが、彼を破滅へ導く最大の要因になっていく。
👀見どころ
北村匠海の「壊れていく演技」
北村匠海が演じる守は、最初から弱い人間ではない。
むしろ「正しさ」を信じ、「制度」を信じ、「自分は大丈夫だ」と思っているタイプだ。
だからこそ、
•少しの違和感を見て見ぬふりをする
•問題を“自分ごと”にしてしまう
•引き返せるタイミングで引き返さない
その一つ一つが、後になって取り返しのつかない選択だったとわかる。
感情を爆発させるのではなく、静かに追い詰められていく表情の変化が、本作最大の恐怖だ。
⸻
河合優実の「曖昧さ」が怖い
林野愛美というキャラクターは、被害者なのか、加害者なのか。
映画はその答えをはっきりとは提示しない。
河合優実は、
•弱く見える
•依存しているように見える
•それでもどこか計算高くも見える
その曖昧な境界線を、非常にリアルに演じている。
彼女を「可哀想」と思った瞬間に、観る側もまた守と同じ位置に立たされるのが、この映画の怖さだ。
⸻
窪田正孝が体現する“構造の悪”
金本龍也(窪田正孝)は、いかにもな悪役ではない。
怒鳴らないし、暴力も多くない。
それなのに、画面にいるだけで空気が変わる。
彼が象徴しているのは、
個人ではなく、社会の歪みそのもの
弱者を食い物にし、制度の隙間を熟知し、
「正しい人間」ほど簡単に壊せることを知っている存在だ。
🌟こんな人におすすめ
- 社会派サスペンスが好き
- 人間の弱さを描く作品に惹かれる
- 観終わったあと、しばらく引きずる映画を求めている
- 北村匠海・河合優実・窪田正孝の演技を堪能したい
※スカッとする映画ではありません。
後味の悪さも含めて、この作品です。
🧑🧒子どもと一緒に観られる?
おすすめしません。
理由ははっきりしています。
❌ 子ども向きではない理由
① 内容がかなり重い
- 生活保護
- 貧困
- 社会的搾取
- 人生の転落
テーマ自体が大人向けで、子どもには理解が難しく、精神的負荷が強いです。
② 性的・倫理的にきつい描写がある
- 大人同士の不適切な関係を示唆する描写
- 「善意」が歪んでいく過程が生々しい
直接的でなくても、空気感がかなりしんどい。
③ 救いが少ない
- 勧善懲悪ではない
- 観終わってスッキリしない
- 「怖さ」がじわじわ残るタイプ
小学生はもちろん、中学生でもキツいと感じる子が多いと思います。
⭕ 観るならどの年齢から?
- 高校生以上(しかも社会問題に関心がある子)
- 観たあとに大人と話せる環境があることが前提
それでも「楽しい映画」ではありません。
親目線でひとこと
お子さんがいる立場で言うと、
この映画は
「子どもに見せたい映画」ではなく、
「親が一人で観て考える映画」です。
重たい夏の夜に、覚悟して観る一本。
もし
「子どもと一緒に観られる社会派映画」
「重いけど希望が残る作品」
を探してるなら、そこに寄せたおすすめも出せるよ。
⚠️嘔吐恐怖症の方でも観られる??
直接的な嘔吐シーンはありませんが、飲酒シーンは多数あります。暴力シーンもあるので、連想させるものが苦手な方にはオススメできません。
📺配信情報
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原作
🕊️まとめ
映画『悪い夏』は、派手な事件や勧善懲悪を描く作品ではありません。
むしろ、誰の身にも起こり得る“ズレ”や“弱さ”が、少しずつ人生を狂わせていく怖さを静かに、そして容赦なく突きつけてきます。
善意は本当に善だったのか。
守るべきものは何だったのか。
北村匠海の壊れていく演技、河合優実の掴みどころのない存在、窪田正孝の不気味な説得力——それらが重なり合い、観る側の倫理観を揺さぶります。
重く、決して“気軽に楽しめる映画”ではありません。
それでも、今の社会を生きる大人にこそ観てほしい、忘れがたい一本です。



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