映画『愚行録』感想レビュー|妻夫木聡×満島ひかりが魅せる“人間の裏の顔”【ネタバレあり】

か行

 

わたし
ゆる

妻夫木聡さん、満島ひかりさん主演の『愚行録』をTELASAにて鑑賞したので、2児の母で軽度の嘔吐恐怖症の私目線でご紹介いたします。

 

 

 

 

 

 

 

📖基本情報

  • 作品名:愚行録(ぐこうろく)
  • 公開年:2017年
  • 監督:石川慶
  • 原作:貫井徳郎『愚行録』(創元推理文庫)
  • 出演:妻夫木聡、満島ひかり、小出恵介、臼田あさ美、中村倫也、松本若菜 ほか
  • ジャンル:ヒューマン・ミステリー

 

 

 

 

🎬あらすじ

エリート会社員夫妻が惨殺される一家殺人事件から1年。

週刊誌記者の田中(妻夫木聡)は、事件の真相を追うため被害者夫妻を知る人々へ取材を重ねていた。

完璧に見えた夫婦・田向一家。しかし、取材を進めるうちに、彼らの周囲には嫉妬、裏切り、見栄、嘘といった“人間の醜さ”が次々と浮かび上がっていく。

一方、田中には、妹・光子(満島ひかり)の存在があった。兄の取材の裏で、彼女が抱える深い傷と家族の秘密が、やがて事件と驚くべき形で結びついていく——。

 

 

 

 

🫣見どころポイント

1. 妻夫木聡の静かな狂気

淡々と取材を続ける記者を演じる妻夫木聡。抑えた演技の中に潜む“何かを隠している”気配が、物語を緊張感で包み込みます。ラストで明かされる彼の“本心”に、誰もが息をのむはず。

2. 満島ひかりの鬼気迫る演技

妹・光子を演じる満島ひかりは圧巻。トラウマを抱えた女性の壊れそうな脆さと強さを見事に表現し、観客の心を鷲掴みにします。無垢さと狂気の狭間で揺れる彼女の存在が、この作品の核そのもの。

3. 人間の“愚かさ”をえぐる構成

誰もが少しずつ嘘をつき、誰もが何かを隠している——。

登場人物たちのインタビュー形式で構成されるストーリーは、まるでドキュメンタリーを観ているよう。視点が変わるたびに真実が歪み、観客自身の“信じたいもの”が揺らいでいきます。

 

 

 

 

📚原作との違い

  • 原作ではより心理描写が緻密で、淡々としたドキュメンタリー調。
  • 映画版は登場人物の感情や関係性が強調され、映像的緊張感を重視。
  • ラストの衝撃的な真相は原作に忠実だが、演出の“温度差”が映画ならではの魅力。

 

 

 

 

🧑‍🧒子どもと一緒に観られる?

残酷な描写や性的暴力を示唆するシーンがあり、中学生以下には不向きです。

内容も心理的に重く、大人向けの社会派ミステリーとして観るのがおすすめです。

 

 

 

 

⚠️嘔吐恐怖症の方でも観られる??

直接的な嘔吐シーンはありませんが、何度も飲酒シーンがあります。軽度の嘔吐恐怖症の方は問題ないかと思いますが、不安に感じる方はいるかもしれません。

 

 

 

 

🌟こんな人におすすめ

  • 心理ミステリーや人間ドラマが好きな人
  • 満島ひかりや妻夫木聡の“本気の演技”を見たい人
  • 表面的な正しさの裏にある“人の闇”を描く作品に惹かれる人
  • 映画『怒り』や『冷たい熱帯魚』など、重厚な邦画が好きな人

 

 

 

 

📺配信情報(2025/11現在)

TELASA

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原作

 

 

 

 

👀ネタバレあり感想

事件の真相が明らかになる終盤、観客は思わず息を呑むでしょう。

田中の妹・光子が過去に受けた“ある暴力”が、物語全体を支配していたこと。そして、兄・田中の取材が、単なる真相追及ではなく「妹を守るための行動」だったことが浮かび上がります。

完璧な夫婦の裏にある偽りと、加害者・被害者の境界が曖昧になる構成。

それは、現代社会に生きる誰もが持つ“愚行”を静かに突きつけてきます。

監督・石川慶は、過度な演出を避け、冷たく無機質な映像で“真実の重さ”を描き出しました。

登場人物それぞれの愚行、そこに至る背景が映画全体のテーマを象徴しています。

観終わったあとに残るのは、やるせなさと、どうしようもない人間への理解。

“愚行”とは他人ではなく、自分自身の中にも潜んでいるのだと気づかされる作品です。

 

 

 

 

🕊️まとめ

映画『愚行録』は、静かに、しかし確実に観る者の心を抉る傑作です。

妻夫木聡と満島ひかりという実力派が放つ“痛み”と“沈黙”の演技が、観る人の中に深く残ります。

「誰もが愚かで、誰もが被害者で、誰もが加害者になり得る」——その現実を直視させる勇気ある一本。

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