
2017年公開の映画『彼女がその名を知らない鳥たち』は、沼田まほかるさんの同名小説を実写化したサスペンスラブストーリー。
主演は蒼井優さん、共演に阿部サダヲさん、松坂桃李さん、竹野内豊さんなど実力派俳優が揃い、愛と憎しみの入り混じった人間模様を濃密に描いています。
第41回日本アカデミー賞では、蒼井優さんが最優秀主演女優賞を受賞。衝撃的なラストに多くの観客が心を揺さぶられました。
目次
基本情報
- 作品名:彼女がその名を知らない鳥たち
- 公開年:2017年
- 監督:白石和彌
- 原作:沼田まほかる『彼女がその名を知らない鳥たち』(幻冬舎文庫)
- 出演:蒼井優、阿部サダヲ、松坂桃李、竹野内豊ほか
- 上映時間:123分
- ジャンル:恋愛・サスペンス
あらすじ(ネタバレなし)
八年前に別れた男・黒崎を忘れられないまま、今の恋人・十和子(蒼井優)は日々を送っていた。
同居しているのは、金もなく清潔感もない中年男・陣治(阿部サダヲ)。彼女に尽くすが、十和子からは見下され、罵倒される毎日だ。
そんなある日、十和子は黒崎に似た男・水島(松坂桃李)と出会い、不倫関係にのめり込んでいく。
しかし次第に、過去と現在の男たちの関係が絡み合い、想像もしなかった真実へとたどり着く…。
見どころポイント
1. 蒼井優さんの体当たり演技
十和子のわがままで自己中心的な一面をリアルに演じ切り、観客を圧倒。嫌悪感すら抱かせるほどの迫真の演技が高く評価されました。
2. 阿部サダヲさんの新境地
コメディ色の強い役柄が多い阿部サダヲさんが、陣治という痛々しいまでに一途な男を熱演。静かな狂気が胸を締め付けます。
3. 松坂桃李さんの危うい魅力
表向きはスマートで魅力的な水島。しかし裏には隠された顔があり、観客を翻弄します。
4. サスペンスとしての緊張感
ただの恋愛映画にとどまらず、人間の欲望や執着を描いた濃厚なサスペンス要素が物語を牽引します。
原作との違い
- 原作は心理描写が濃厚で、十和子の内面がより深く描かれています。
- 映画は映像的な緊張感を重視し、視覚で伝える表現が多い。
- ラストの衝撃展開は原作と大きくは変わりませんが、映画では陣治の存在感がより強調されています。
ネタバレあり感想
(⚠️ここからラストの真相に触れます)
十和子が執着し続けた黒崎。
しかし物語が進むにつれ、黒崎の失踪には陣治が関与していることが明らかになります。
表向きは惨めで情けない男に見えた陣治。
実際には、十和子を守るために黒崎を手にかけてしまったのではないか――という真実が徐々に浮かび上がります。
クライマックスで描かれるのは、歪んだ愛の形。
十和子は最後に「陣治がいなければ生きていけない」と気づくものの、同時にその事実の重さに押し潰されそうになります。
観終わった後に心がざわつき、「愛とは何か?」を突き付けられる作品でした。
陣治の「一途さ」は恐ろしくもあり、同時に切なく胸を打ちます。
子どもと一緒に観られる?
本作は性描写や暴力的な表現も含まれるため、小さな子どもと一緒に観る作品ではありません。
対象は 大人向け。恋愛ドラマというより、心理サスペンスとして楽しめる内容です。
嘔吐恐怖症の方でも観られる??
直接的な嘔吐シーンはありませんが、飲酒シーンは何度かありました。
泥酔といった雰囲気ではなかったので、大抵の嘔吐恐怖症の方は問題なく観られるかと思います。
こんな人におすすめ
- 濃厚な人間ドラマを観たい人
- 蒼井優さんや阿部サダヲさんの演技を堪能したい人
- サスペンス要素のある恋愛映画が好きな人
- 「愛と執着」というテーマに惹かれる人
- 原作小説ファンで実写化をチェックしたい人
どこで観られる??(2025年10月現在)
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原作はこちら
まとめ
映画『彼女がその名を知らない鳥たち』は、ただの恋愛映画ではなく、人間の欲望と執着を描いたサスペンスドラマです。
蒼井優さんの鬼気迫る演技、阿部サダヲさんの狂気的な一途さ、松坂桃李さんの危うい魅力。キャスト全員が体当たりで挑んだ濃密な2時間でした。
観終わった後には「愛とは何か?」「依存と執着は紙一重ではないか?」と考えさせられるはず。
人間の暗い部分を描きながらも、最後には切ない愛の物語として胸に刻まれる傑作です。
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