
2023年に公開され数々の賞を受賞した『エゴイスト』がNetflixでの配信が始まり、鑑賞いたしましたので、軽度嘔吐恐怖症で2児の母の私がご紹介いたします。
あらすじ
14 歳で⺟を失い、⽥舎町でゲイである⾃分を隠して鬱屈とした思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、仕事が終われば気の置けない友人たちと気ままな時間を過ごしている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである⺟を⽀えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太。
自分を守る鎧のようにハイブランドの服に身を包み、気ままながらもどこか虚勢を張って生きている浩輔と、最初は戸惑いながらも浩輔から差し伸べられた救いの手をとった、自分の美しさに無頓着で健気な龍太。惹かれ合った2人は、時に龍太の⺟も交えながら満ち⾜りた時間を重ねていく。亡き⺟への想いを抱えた浩輔にとって、⺟に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし彼らの前に突然、思いもよらない運命が押し寄せる――。(公式サイトよりhttps://egoist-movie.com/index_sp.php)
嘔吐恐怖症の方でも観られる??
直接的な嘔吐シーンはありませんが、飲酒シーンが度々あり、朝目が覚めたら二日酔いで頭が痛いというようなシーンもあります。
病院で入院のシーンもあるので、連想され苦手に感じるかたもいるかもしれません。
子どもと一緒に観られる??
映倫では刺激の強い性愛表現があるとのことでR15指定されています。
前半はかなり性的表現が多く、画面の肌色多めです。もちろん今の時代そんなことはないでしょうが、実際にしているのでは?と感じてしまうくらい密着したリアルなシーンが多くあり、大人同士であっても誰かと一緒に観るのは少し気まずいかも、、、といった印象です。少なくとも何歳であっても親子で観れるような映画ではないかなと。個人的にはR18でもいいのかなと感じました。
こんな方にオススメ
✳︎同性愛に抵抗がない方
✳︎俳優さんの体当たりの渾身の映画を観たい方
✳︎話題になった映画が好きな方
✳︎愛情とは、、、?と考えたことがある方
ネタバレあり感想
この『エゴイスト』高山真著書の2012年発売の自伝的小説で作者の高山真さんは2020年に亡くなってしまったということをこのブログを書く上で知りました。ご冥福をお祈りします。
この映画、前半は運命的な出会いをした鈴木亮平さん演じる浩輔と宮沢氷魚さん演じる龍太の運命的な出会いからお互いの家族や生い立ちについて描かれており、2人の濃密な日々が描かれています。
14歳で母親を亡くし田舎町へ帰るときは全身ブランドものでかため武装していく浩輔は母子家庭で育ち病気を持っている母を助けるために高校を中退し、自らの体を男性に売りながら生計を立てパーソナルトレーナーを目指していることを知り、月10万円援助するから売りはやめて足りない分はアルバイトするよう提案します。最初は龍太も抵抗していたものの、浩輔を愛したが故、売りがしんどくなっていたこと、浩輔と一緒にいたいという思いから受け入れて浩輔から援助を受けながらアルバイトを2つ掛け持ちする生活を送ります。
ときには龍太の母親も交え忙しいながらも、愛し合い幸せに過ごす日々も突然の龍太の死によって終わりを告げてしまいます。
龍太の死因については特に作中で明言されていませんが、浩輔が龍太の母親に自分のせいで龍太を働かせすぎてしまいその結果亡くなってしまったといったニュアンスのことを言っていたので、過労死かと思いました。
龍太の死後も龍太の母親を気遣い援助を申し出る浩輔。それを最初は拒否するもの、浩輔の龍太にしていたことをなかったことにしたくない、これは自分のわがままだという申し出を聞き受け入れる。それからまるで本当の親子のように、買い出しをしたりマッサージをしたり献身的に龍太の母親に尽くす浩輔。そんな生活を続けているいくと当然貯蓄も減っていき、、、龍太の母親に一緒に住まないかと提案するも断られてしまう。
そんななか、いつもお土産に買っていく果物をいつもなら迷わず1つ2000円のものを選んでいたのに、198円のものと何度も迷い結果的に2000円の梨を買っていった浩輔に愛情だけではないプライドを感じました。
そして、いつものように龍太の母親の家に着いたら何度インターホンを鳴らしても出てこなくて少しイラつきを見せた浩輔に近所の人が、入院したことを教える。このシーンは少し、ご近所さんって入院先の病院まで知っているものなのだろうか、、、と疑問にすら感じてしまいましたが、浩輔はその足で病院へ行き龍太の母がガンのステージ4だということを知ります。
ここで、龍太の母親は自分のことも龍太のことも愛してくれてありがとうと伝えるも浩輔は愛がよくわからないと悲しく笑います。
ここがおそらくエゴイストというタイトルに繋がるのでしょう。
龍太を自分のものにしたくて援助を申し出た浩輔のエゴ、好きな相手からの援助を受け入れた龍太のエゴ、そしてラストシーンで死期を悟った龍太の母親が帰ろうとしていた浩輔を呼びとめ一緒にいてほしいと言い自分を看取らせようとしているエゴ。
愛とエゴ、とても難しく判別し難いテーマを扱っていて、前半のあまりに生々しく目を背けたくなるような愛し合っているシーン、後半のなんとも言えない愛情とは?エゴとは?と訴えかけてくるようなどこに落ち着くのだろうかという時間。
世界で一番愛おしい人を失った龍太の母親、浩輔どちらも亡くした後も生活は続き、そして生活を支えることで一種の救いのようになっていた龍太の母親が亡くなった後も浩輔の生活は続いていた。一番現実的でかつ苦しいことだなと感じました。
この原作が自伝的小説だからこそ、私は死後の世界はわからないけれど、みんなで楽しくお茶でも飲めているといいなと思いを馳せてしまいます。
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