
うつ病は「本人だけの問題」ではなく、「周囲の人の人生も変えてしまう病気」だと、あなたは考えたことがありますか?
映画 『ツレがうつになりまして。』 は、うつ病を発症した夫と、それを支える妻の日常を、決して重くなりすぎず、しかし現実から目をそらさずに描いたヒューマンドラマです。
堺雅人と宮崎あおいという実力派俳優の共演により、
「笑っていいのか、泣いていいのか分からない」
そんな絶妙な感情を丁寧にすくい取った一作となっています。
目次
✅基本情報

- 作品名:ツレがうつになりまして。
- 公開年:2011年
- 原作:細川貂々『ツレがうつになりまして。』
- 監督:佐々部清
- 脚本:青島武
- 上映時間:121分
キャスト
- 堺雅人(髙崎幹男/ツレ)
- 宮崎あおい(髙崎晴子)
🎬 あらすじ(ネタバレなし)
出版社に勤めるエリートサラリーマン・幹男(堺雅人)は、ある日突然、会社に行けなくなってしまう。
「理由は分からない。でも、体が動かない」
診断は「うつ病」。
妻の晴子(宮崎あおい)は戸惑いながらも、夫を支えようと仕事を続け、生活を維持しようと奮闘する。しかし、励ましの言葉が逆効果になったり、夫の変化にどう向き合えばいいのか分からなくなったりと、支える側の苦悩も次第に浮き彫りになっていく。
📚 原作との違い・映画ならではの魅力
原作はエッセイ漫画で、より淡々と日常が描かれていますが、映画では夫婦の感情の揺れを丁寧に補強。
特に、
- 晴子の焦り
- ツレの自己否定
といった“言葉にできない感情”が、俳優の演技によって深く伝わります。
🧑🧒 子どもと一緒に観られる?
- 小学生:内容が難しく理解しづらい
- 中学生以上:心の病気を学ぶ教材として◎
- 高校生〜大人:特におすすめ
家族で観る場合は、観賞後に感想を話し合う時間があるとより意味のある作品になります。
⚠️嘔吐恐怖症の方は観られる??
ツレがうつを患いながらも会社員として電車通勤していたころ、満員電車に耐えきれずトイレへ駆け込むシーンがありました。
嘔吐恐怖症の方にはこちらの映画をお勧めすることはできません。
🌟 どんな人におすすめ?
- 家族や身近な人がうつ病になった経験がある
- 心の病気について正しく知りたい
- 派手さよりも“日常に寄り添う映画”が好き
- 堺雅人・宮崎あおいの演技をじっくり観たい
📺配信情報(2025/12現在)
Netflix

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原作
💬 ネタバレあり感想・考察
◆ 「がんばれ」が言えない苦しさ
この映画が優れているのは、
“支える側がどれほど無力に感じるか” を正面から描いている点です。
晴子は善意で「元気出して」「大丈夫だよ」と声をかける。
しかし、その言葉がツレをさらに追い詰めてしまう場面は、観ていて胸が苦しくなります。
「何もできない自分」を責める晴子の姿は、多くの人が共感するはずです。
◆ 堺雅人の演技がリアルすぎる
堺雅人演じるツレは、感情を爆発させるわけでも、派手に泣き叫ぶわけでもありません。
- 無表情
- ぼんやりした目
- 何をするにも時間がかかる
その“静かな異変”こそが、うつ病の怖さをリアルに伝えています。
◆ 「治す」のではなく「一緒に生きる」物語
この映画に、劇的な完治の瞬間はありません。
それでもラストに向かって描かれるのは、
うつ病は、急に治るものではない
でも、人生は続いていく
というメッセージ。
晴子が「支えなきゃ」という肩の力を少しずつ抜いていく過程が、とても優しく、現実的です。
🕊️ まとめ
映画 『ツレがうつになりまして。』 は、
「どう支えればいいのか分からない」
「正解がない」
そんな現実を、そのまま肯定してくれる作品です。
誰かを支える立場になったとき、
この映画の静かな優しさが、そっと心を軽くしてくれるかもしれません。



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