
2020年2月、日本に新型コロナウイルスが本格的に広がり始めた頃——。
豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス」で多数の感染者が確認され、世界中が注目する中、横浜港に入港したあの日の緊迫感を、映画『フロントライン』はリアルに再現します。
DMAT(災害派遣医療チーム)や厚生労働省の職員たちは、前例のない“海上での大規模感染症対応”に直面し、国・現場・乗客が揺れる“未知のウイルスとの攻防”を描いた社会派ヒューマンドラマ。
小栗旬・松坂桃李を中心に、池松壮亮、窪塚洋介ら実力派キャストが脅威の実話を体現します。
目次
🎬あらすじ(ネタバレなし)
100名を超える乗客に発熱症状が出た豪華客船が、横浜港へ入港。
乗客3,700名以上を抱える船は、パンデミックの震源地と化していました。
DMATは出動要請を受けますが、彼らは “感染症医療の専門集団ではない” ため、未知のウイルスへの対応経験はゼロ。
そんな極限状態の中、
- 結城英晴(小栗旬) … DMAT統括
- 立松信貴(松坂桃李) … 厚生労働省の現場指揮官
ふたりは政府の対策本部で指揮を執り、乗客救済と感染抑制の両立を模索します。
しかし、
・日々変わる状況
・限られた医療資源
・増え続ける感染者
・国際的プレッシャー
そのすべてが、彼らの判断を追い詰めていく…。
🎥キャスト
- 小栗旬(結城英晴/DMAT統括)
- 松坂桃李(立松信貴/厚労省)
- 池松壮亮
- 窪塚洋介
ほか
■ 監督
- 関根光才(『かくしごと』)
💬ネタバレあり感想・解説(核心に触れます)
◆ 現場と国の“ズレ”を腹が立つほどリアルに描く
結城(小栗旬)は常に「目の前の命」を第一に考える医療者。
しかし立松(松坂桃李)は“政治判断”の中で動かされている。
ふたりの目的は同じなのに、
立場の違いから生まれる摩擦 が強烈。
・隔離するのか
・船内で治療するのか
・全員を下船させるのか
その議論の一つひとつが、あの日の混乱を思い出させるリアルさです。
◆ 乗客の不安を「SOS音声」で描く演出が痛ましい
映画の中盤、
隔離された客室から乗客が電話で「助けてください」と訴える描写は胸がしめつけられるほど。
・看護師が足りない
・食事が届かない
・検査の順番もわからない
不安を抱える市民と、対応に追われる国。
その“距離”が象徴的に描かれています。
◆ DMATの極限状態が壮絶
本来「災害医療」を目的にしたDMATが、
感染症医療の最前線に立たされるという異常事態。
・感染防御の知識不足
・船内動線の把握不能
・隊員の感染リスク
結城が「誰を優先して救うのか」悩むシーンは、
医療倫理の厳しさを突きつけます。
◆ ラスト:成功でも失敗でもなく、“重さ”だけが残る
全乗客の下船が終わった後の船内。
結城と立松が静かに船を眺めるラストシーン。
「これが正しかったのか」
「もっとできることはあったのか」
答えは出ないまま、ただ静かに時間が流れる。
それがまた現実的で、深く突き刺さる余韻を残します。
🧑🧒子どもと一緒に観られる?(年齢別)
◎ 小学生低〜中学年
→ 難易度が高く、内容が重いため非推奨。
◎ 小学校高学年〜中学生
→ 歴史的出来事として観る価値あり。
家族と一緒に観ると理解しやすい。
◎ 高校生
→ 社会問題・危機管理の教材として非常におすすめ。
⚠️嘔吐恐怖症の方でも観られる??
この映画はコロナ禍初期のことを描いており、作中の多くが体調不良者の治療シーンです。後半には直接的な嘔吐シーンもあるため、嘔吐恐怖症の方にはオススメできません。
🌟どんな人におすすめ?
- 医療現場のリアルを知りたい
- コロナ禍初期の背景を理解したい
- 社会派ドラマが好き
- 小栗旬・松坂桃李の重厚な演技を観たい
- あの日の「現場の真実」を追体験したい人
📺配信情報(2025/12現在)
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🕊️まとめ
映画『フロントライン』は、
単なるコロナ映画ではなく、
「未知の脅威に立ち向かった人々の記録」 に近い作品です。
誰も正解を知らない中、
医療者・官僚・乗客がどう決断したのか。
その裏側を緻密に描き、
“2020年2月の日本の現実”を今の視点で振り返らせてくれます。
重いけれど、観る価値のある一作です。



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